固定費って?
さて、変動費の続きですね。ハカセ。
そうだね。さきほど、変動費について説明したけど、次は固定費、というものを見ていくよ。
固定費というのは、販売数量等に関係なく、発生するコストのことなんだ。
例えば・・・ほら、ポチ太くんのお店では、先月から減価償却費が増えているね。
はい。最近流行の「岩盤浴散髪イス」の設備を購入したんです。このイスに座りながら散髪すると、お肌がスベスベになるんですよ!
ぅ、ぅん。そぅ・・・なんだ・・・(たしか、ポチ太くんのお店は、男性客中心だったんじゃ・・・)
それで、固定費=「販売数量等に関係なく発生するコスト」とのことですが・・・この場合、どう意味なんですか?
いまいち、イメージが付かなくて。。
今回の「岩盤浴散髪イス」は、お客さんが10人でも、100人でも、今期に計上できる減価償却費は同じ金額なんだ。
例えば、今期100万円の減価償却費を計上できるとしよう。
このイスで、100人のお客さんをサービスできれば、一人当たりのコストは、100万円÷100人=1万円/人、だよね。
でも、10人のお客さんにしか使われなかったら、100万円÷10人=10万円/人、となって、割高になるわけ。
つまり、使えば使うほど、その元が取れてるってわけさ。
なるほど。
使われなかったら、ただのガラクタですもんね。
それに、無理に元を取ろうとして、お客さんに強引に勧めたり、カット料金を上げたりしたら・・・
そうだね。だから、固定費の投資には慎重な判断が必要となるね。
ところで、ハカセ。最近、お肌が荒れてませんか?(ニヤニヤ
うん、そうなんだよ~。最近、お酒の飲みすぎで・・(ハッ
ヘィ!ぃラッシャーイ!
この物語のまとめ
事業で発生するコストは、大きく分けて、変動費と固定費の2種類に分類できます。
簡単に説明すれば、
- (A) 変動費=販売数量などに比例して増減するコスト
- (B) 固定費=販売数量などに関係なく発生するコスト
です。
ここでは、固定費について見ていきましょう。
固定費には、具体的にどんなものがあるでしょうか。
例えば、以下のようなものです。
- (C) 減価償却費 ・・・固定資産等に関する経費
- (D) 人件費 ・・・従業員にかかる経費
などです。
では、より多くの利益を生み出すためには、どうすればよいでしょうか。
例えば、固定費は、以下の観点から分析が可能です。
- (E) 稼動時間
- (F) 売上高
まず、上記Eについてです。
固定費は、いくら使っても(販売数量等が増えても)、金額は変わりません。
そのため、使えば使うほど、元(投下資本)の回収が出来ていると考えることもできます。
この使った時間≒稼働率、を一つの指標とすれば、販売商品の値決めの参考にも使うことができます。
簡略化した以下の例で考えてみましょう。
- 【例】設備;甲の減価償却費: 10万円/月で、
- (G)生産量:200個/月
- (H)生産量:100個/月、の場合
- (G)の場合
- 10万円÷200個=500円/個
- (H)の場合
- 10万円÷100個=1,000円/個
次に、上記Fについてです。
固定費は、いくら使っても(販売数量等が増えても)、金額は変わらないことは説明しました。
しかし、使っても、売上に繋がってなければ、意味はありません。
むしろ、機械装置の例で言えば、使うほどに磨耗していき、追加修繕費も発生するため、注意が必要です。
また、人件費の例で言えば、年功序列制の企業で、売上が上がらないのに、社員の給与だけが毎年上がっていったら・・・
簡略化した以下の人件費の例で考えてみましょう。
上記Gについては、売上の変動に関わらず、人件費は一定です。
上記Hについては、売上の変動に伴い、人件費も変動しています。
売上変動が大きい事業特性を持つ場合、固定費はなるべく少ない方が良いかもしれません。
また、人件費=固定費、という固定概念をなくして、変動費的要素を濃くするのが良いかもしれません。
例えば、
- (I)成果給的な要素を強くした賃金体系の採用
- (J)正社員とパート・アルバイト比率の見直し
などです。
自己の事業特性を考えながら、固定費の見直しを定期的に行っていきましょう。
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