損益分岐点って?(その3)

漫画:損益分岐点って?(その3)

さて、損益分岐点(その2) の続きですね。ハカセ。

そうだね。
採算を上げるためには、①売上を上げる、②経費を抑える、の2つの観点から考えるんだったね。
それでは、②経費を抑える、を見ていこう。

経費か~。
売上を上げることには気を使っているんですが、経費削減は、あまり考えていませんでしたね。
だって、あまり、セコセコしていたら、従業員との関係もギスギスしてきますし。。

たしかに、それも大切な観点かもしれないね。
じゃあ、先ほどと同じく、1,000円カットの理容業の例で考えてみよう。
客単価の安さに加えて、他にどんな特徴があるかな?

え~っと・・・たしか・・・、髭剃りや洗髪が無かったり、店舗坪数が比較的小さいですね。
あとは、カットの予約ができなかったり、もあるようですね。

その通り。
髭剃りや洗髪が無いということは、その分、シャンプー代などの材料費や水道光熱費、ドレッサー等の設備費が不要になるね。
店舗が小さければ、当然家賃も安い。
そして、カットの予約がなければ、それを管理するための人員を配置する必要がないし、急なキャンセルによる待ちぼうけ、という事態も発生しないね。

なるほど。
事業構造自体が、小さな固定費で済むようになってるんですね。

そうだね。こうした、高収益のビジネスモデルが、1,000円カットのお店が増加する一因になったんだ。

よし、明日から、固定費削減に取り組みます!

ポチ太くん。では、早速、明日のおやつタイムは無しにしようね(ニッコリ

えぇーー!(

【損益分岐点】のお話のまとめ


売上が損益分岐点に達しない場合、①売上の改善、②経費の改善、の両面から分析できることは、 以前触れました。
ここでは、②経費の改善、を見ていきましょう。

経費は大きく2つの要素から構成されます。つまり、



です。

前回の例 をもう一度おさらいしておきましょう。

  • 【例】
  •   (C)メンズエステサービス料: 3,500円/回
  •   (D)トリートメント・タオル代:1,000円/回
  •   (E)エステティシャン賃金:  200,000円/月
  •   (F)専用器具減価償却費:   50,000円/月

この場合、±0円の利益にするためには、100回/月、の売上が必要でしたね。

だけど、90回/月、しか上がらない場合、どうすれば良いでしょうか。
まず、変動費の削減から見ていきます。

変動費は、こちら で説明したとおり、

  •   (G)購入単価
  •   (H)原単位

の2要素を改善することで、削減が可能でした。

具体的には、①トリートメントをより安価な海外製に変える、②適正な使用量を見直す、などです。

次に、固定費です。
固定費の場合は、考え方が色々ありますが、わかりやすい例として、

  •   (I)より安い物を買う
  •   (J)より高い物を買う

の2つがあります。

上記Iについては、至極単純です。
つまり、現状よりも安価な購買先へのシフト等で、購入単価を下げることです。

次に、 上記Jについては、固定費の削減と相反する行為かもしれません。
しかし、例えば、

①耐久年数:3年で100万の器具、より、耐久年数:5年で150万円の器具、を購入する
上記Fの例で、より高価な全自動器具;減価償却費:100,000円/月、を購入することで、上記Eのエステティシャン:200,000円/月(正社員)、を100,000円/月(パートアルバイト)、に変更する

などが考えられます。

以上、経費を抑える、という観点から見てきましたが、変動費・固定費のいずれにしても、その削減により、大幅なサービス品質の低下・売上の減少、が発生しないよう、留意が必要です。

 

関連トピックス